• 2023年2月3日
  • 2024年2月8日

大寒波のあと

大寒波のあと,暫く冬の晴れ間が続きそうですが,インフルエンザA型が大流行しています.今週初めに当院で,2日連続1人ずつCOVID-19とインフルエンザA型とが両方陽性の症例を確認しました.インフルエンザA型の症状がメインですが2019年末の武漢ウイルスの流行以来3年余り…こどものCOVID-19罹患2~6週間後に発症するMIS-C/PIMS(小児COVID-19関連多系統炎症性症候群)の報告が,国内で延べ100人近くに達しています.外国では死亡例も報告されていますが,幸い日本国内での死亡報告は未だありません. 12歳以下のCOVID-19ワクチン接種のため枚方医師会館に出務してきましたが,医師4人6時間で予約人数はたったの43名でした.確かにCOVID-19ワクチン接種のリスク&ベネフィットに関しては若年層ほどメリットが低いのは事実だし,相変わらすSNSでは副反応のニュースが喧伝されているので,ネットバイアスにハマっている親御さんたちは我が子に積極的には接種させたがりません.
 一方で接種率が80%余りで頭打ちになっている現状は,1割程度に留まっている若年層の接種率の低さによるものです.自由闊達な学校生活を取り戻すことや,外食や家族旅行,友達との積極的な交流に想いを馳せるとき,ワクチン接種は有利に働くことを説明したら,殆どのこどもたちはワクチン接種を前向きに捉えてくれるのですが…
 他の先生方も「かかって厄介な合併症が出ても現状対応する治療薬がないから,ならないに越したことはない感染症なので,せめて基礎免疫だけはつけておいた方がいい.」とかかりつけの方に2回の接種だけは勧めているとのこと「話を聞いてくれたら打ってくれますが,そもそも5歳以上って受診機会がガクッと減る年代なので…」と力不足を嘆いておられました.
 COVID-19はもう完全に市中感染症化しているのです.以上の理由から当院では,SARS-CoV-2PCR検査を積極的には行いません.しかし患児やその家族たちが正常な教育経済活動が出来るように,社会から隔絶されないように,PCR迅速検査を利用したいのです.
 当院では院内で新型コロナウイルスPCR検査を含めた種々の検査を迅速に施行出来る体制を整備し,こどもたちの健全な集団生活が阻害されることのないように努めていきたいと気を引き締めている今日この頃です.
 昨年来COVID-19流行に対する対策として3密を回避するため,当院では順番予約制に統一しました.現在のところ感染待合及び非感染待合を合わせて5組以上お待たせすることがなくなり,スムーズに診療出来ています.今までの時間予約制に馴れている方々にはご不自由をおかけすることになっているかもしれませんが,悪しからずご了承ください.ただし順番予約制とは言え遅れる場合はその旨を前もって受付にご連絡頂ければいいですから,わざわざタイミングを見計らってご予約頂く必要はありません.
 当院は開院当時から患者間の相互感染防止には細心の注意を払っています.非感染外来は陽圧にして,感染症患児からは隔絶されています.感染症待合でもソーシャルディスタンスに配慮した椅子の配置にしています.
 更にAMR※1)対策の一環として診断根拠がある場合にのみ抗生剤を使用し,過不足のない適切な投薬を日々心がけています.服薬困難や副反応の問題など,疑問があれば何でも気軽に質問してください.
 軽症の上気道炎に当院では漢方薬をよく処方しますが,その理由は頭もスッキリするし乳児にも使用出来るからです.親が観察するべきポイントは4つ:食欲,睡眠,機嫌,発熱です.全部問題なければ症状にあわせ親の判断で漢方薬服用の要否を決め,快適に過ごさせてあげてくださいね.
 小児科医はこどもたちの健やかな発達/発育をトータルにサポートするオーガナイザーです.頭のてっぺんから足の先まで何かあったら素人判断をせず,まず小児科を受診することが一番の近道であるとお考えください.軽い風邪かなと思っても先ずは小児科です.そして診察/相談の上,万一必要な場合は適切な専門医をご紹介申し上げます.
 AMR※1)とは,病原体が変化して抗生物質・抗菌薬が効かなくなることです
 抗生物質・抗菌薬の使用に伴ってAMRが起こることがあります.
 何も対策をとらす現在のペースで増加した場合,2050年には
 1000万人【3秒に1人※2)】の死亡が想定され,癌による死亡者数を上回る
 ことが指摘されています.

※1)AMR: Antimicrobial Resistance 
※2)英国薬剤耐性に関するレビュー委員会(オニール委員会) 
 第一次報告(2014年12月)

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