• 2022年2月22日
  • 2024年2月8日

オミクロン株の流行が止まりません…

オミクロン株の流行が止まりません…検査キットは品薄で多くのクリニックで検査出来なくなっています.私のクリニックではまだ院内でPCR迅速検査が出来ますが,やれば9割方陽性です.実際のところPCR検査陽性者の6割が無熱であり,咳嗽などの呼吸器症状がほとんどないことがデルタ株との大きな違いで,これこそが重症化しない理由でもあるのですが…このような状況下では検査対象者を限定するのが非常に困難です.恐らく無症状の個体まで含めると実際の感染者数は報告数の10倍は下らないと考えられます.COVID-19はもう完全に市中感染症化しているのです.PCR検査陽性なら,義務として保健所に全例報告しなければなりません.すべて軽症なのに保育所や学校にも行けず,家族も仕事が出来ず,しばらく社会から抹殺されてしまう…本当に実状に則していないし,矛盾だらけで強いいきどおりを感じながら仕事をしています.欧米諸国はもう素早く軌道修正して力強く前を向いていますが,日本は…本当に臆病で駄目なところだと思います.
 誤解してほしくないのは,免疫弱者(肥満や糖尿病,高齢者など)を切り捨ててもいいと思っている訳ではありません(詳細は前回1/19のブログを参照のこと).武漢ウイルスの流行から始まって2年も経過してCOVID-19は完全に市中感染症化しているのに,未だに患者の全数把握のような初期対応を続けるのは完全な間違いです.莫大な費用と労働力の無駄遣いを医療関係者に強いているだけでなく,健全な社会教育経済活動をも大きく損ねています.以上の理由から当院では,SARS-CoV-2PCR検査を積極的には行いません.しかし患児やその家族たちが正常な教育経済活動が出来るように,社会から隔絶されないように,PCR迅速検査を利用したいのです.
具体的には
1) 可能な限りPCR検査は行わない方向で対応します.何故なら患児及びその家族が健常者である場合,PCR検査をすることのメリットよりデメリットの方が上回っていると判断出来るからです.
2) PCR検査をしないことが感染拡大に繫がったり,免疫弱者を危険にさらす可能性があると判断された場合は積極的に検査します.例えば両親が教育職や介護職,又は医療従事者である場合や,高齢者や肥満及び糖尿病などの基礎疾患のある人と同居している場合などです.
3) PCR検査で陰性確認することが社会参画に必要な場合も積極的に検査します.例えば登園や登校,仕事復帰に必要とされている場合などです.但し陽性率が80%超の今では,裏目に出ることは覚悟しての話です.
 当院では院内で新型コロナウイルスPCR検査を含めた種々の検査を迅速に施行出来る体制を整備し,こどもたちの健全な集団生活が阻害されることのないように努めていきたいと気を引き締めている今日この頃です.
 お約束のトリビア「COVID-19流行終息後の世界…ポストコロナを見つめて」は,次回に延期させて頂きます…ごめんなさい.
 昨年来COVID-19流行に対する対策として3密を回避するため,当院では順番予約制に統一しました.現在のところ感染待合及び非感染待合を合わせて5組以上お待たせすることがなくなり,スムーズに診療出来ています.今までの時間予約制に馴れている方々にはご不自由をおかけすることになっているかもしれませんが,悪しからずご了承ください.ただし順番予約制とは言え遅れる場合はその旨を前もって受付にご連絡頂ければいいですから,わざわざタイミングを見計らってご予約頂く必要はありません.
 当院は開院当時から患者間の相互感染防止には細心の注意を払っています.非感染外来は陽圧にして,感染症患児からは隔絶されています.感染症待合でもソーシャルディスタンスに配慮した椅子の配置にしています.日本医師会は国民に安心して受診してもらえるよう,感染対策を実施している医療機関に掲示してもらう「新型コロナウイルス感染症等感染防止対策実施医療機関『みんなで安心マーク』」を8月から制作しました.
 おがた小児科では,AMR※1)対策の一環として診断根拠がある場合にのみ抗生剤を使用し,過不足のない適切な投薬を日々心がけています.服薬困難や副反応の問題など,疑問があれば何でも気軽に質問してください.
 軽症の上気道炎に当院では漢方薬をよく処方しますが,その理由は頭もスッキリするし乳児にも使用出来るからです.親が観察するべきポイントは4つ:食欲,睡眠,機嫌,発熱です.全部問題なければ症状にあわせ親の判断で漢方薬服用の要否を決め,快適に過ごさせてあげてくださいね.
 小児科医はこどもたちの健やかな発達/発育をトータルにサポートするオーガナイザーです.頭のてっぺんから足の先まで何かあったら素人判断をせず,まず小児科を受診することが一番の近道であるとお考えください.軽い風邪かなと思っても先ずは小児科です.そして診察/相談の上,万一必要な場合は適切な専門医をご紹介申し上げます.
 AMR※1)とは病原体が変化して抗生物質・抗菌薬が効かなくなることです
 抗生物質・抗菌薬の使用に伴ってAMRが起こることがあります.
 何も対策をとらす現在のペースで増加した場合,2050年には
 1000万人【3秒に1人※2)】の死亡が想定され,癌による死亡者数を上回る
 ことが指摘されています.

※1)AMR: Antimicrobial Resistance 
※2)英国薬剤耐性に関するレビュー委員会(オニール委員会) 
   第一次報告(2014年12月)

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