- 2023年5月17日
- 2024年2月8日
COVID-19は5類に移行
G.W.明けからCOVID-19は5類に移行しインフルエンザ並みの扱いになりましたが,実際のところ当院では毎日1例程度検出され続けています.G.W.直前NHKニュースでの大阪における感染状況は,10万人あたり60人台とのこと…60万都市枚方市全体で300人そこそこということになりますが,検査医療機関数を考慮すれば実際のところその10倍近くの患者数が妥当だと考えられます.COVID-19がもう完全に市中感染症として定着していることは,紛れもない事実なんでしょうね.
2019年末に発生した武漢ウイルス(COVID-19)が瞬く間に拡散して高齢者や糖尿病患者等の免疫弱者に多くの死亡例が報告され始め,世界中がインフルエンザウイルスによるスペイン風邪以来のパンデミックに陥りました.一方こどもたちにとっては,昔から普通感冒の原因の3割ほどはコロナウイルスであり,その多くの場合無症状か軽症です.特別警戒すべきものでもなく,インフルエンザや麻疹,水痘等よりもずっと下位に位置付けられる存在で,「登園に関する意見書」等も必要なかったのです.つまりはCOVID-19もこどもたちにとっては,数ある普通感冒ウイルスの単なる変異株の一つに過ぎないのです※1).
以上の理由から当院では,SARS-CoV-2PCR検査を積極的には行いません.患児やその家族たちが正常な教育経済活動が出来るように,社会から隔絶されないように,PCR迅速検査を利用したいのです.しかし両親が医療職,介護職及び教育職であるとか,高齢者や肥満,糖尿病患者や担癌個体等の免疫弱者と接触する機会がある場合はその限りではありません.例えばおじちゃんおばあちゃんに孫を預けて仕事に行く場合などは積極的な検査を勧めています.
当院では院内で新型コロナウイルスPCR検査を含めた種々の検査を迅速に施行出来る体制を整備し,こどもたちの健全な集団生活が阻害されることのないように努めていきたいと気を引き締めている今日この頃です.
3密を回避するため,当院では順番予約制を導入し,現在のところスムーズに診療出来ています.ただし順番予約制とは言え遅れる場合はその旨を前もって受付にご連絡頂ければいいですから,わざわざタイミングを見計らってご予約頂く必要はありません.
当院は開院当時から患者間の相互感染防止には細心の注意を払っています.非感染外来は陽圧にして,感染症患児からは隔絶されています.感染症待合でもソーシャルディスタンスに配慮した椅子の配置にしています.
更にAMR※2)対策の一環として診断根拠がある場合にのみ抗生剤を使用し,過不足のない適切な投薬を日々心がけています.服薬困難や副反応の問題など,疑問があれば何でも気軽に質問してください.
軽症の上気道炎に当院では漢方薬をよく処方しますが,その理由は頭もスッキリするし乳児にも使用出来るからです.親が観察するべきポイントは4つ:食欲,睡眠,機嫌,発熱です.全部問題なければ症状にあわせ親の判断で漢方薬服用の要否を決め,快適に過ごさせてあげてくださいね.
小児科医はこどもたちの健やかな発達/発育をトータルにサポートするオーガナイザーです.頭のてっぺんから足の先まで何かあったら素人判断をせず,まず小児科を受診することが一番の近道であるとお考えください.軽い風邪かなと思っても先ずは小児科です.そして診察/相談の上,万一必要な場合は適切な専門医をご紹介申し上げます.
※1) 基礎疾患のない18歳未満の小児が,COVID-19の急性期において増悪することは極めて稀であるが,2~6週間後にCOVID-19に続いて毒素性ショック症候群または川崎病を疑わせるような多臓器系に渡る強い炎症を起こす病態,小児多系統炎症性症候群:MIS-C (multisystem inflamatory syndrome in children)が海外では多数報告されている.
※2)AMR: Antimicrobial Resistanceとは,病原体が変化して抗生物質・抗菌薬が効かなくなることです.
抗生物質・抗菌薬の使用に伴ってAMRが起こることがあります.
何も対策をとらす現在のペースで増加した場合,2050年には1000万人【3秒に1人※2)】の死亡が想定され,癌による死亡者数を上回ることが指摘されています.:英国薬剤耐性に関するレビュー委員会(オニール委員会) 第一次報告(2014年12月)